ジクス株式会社

ジクス株式会社

画像処理技術による、印刷関連検査システムの開発・設計・製作・販売

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ジクスの技術

検査装置を支える技術

1.ダイクロイックミラー

Dichroic Mirror

ダイクロイックとは、二つに分ける(Diecho-)という意味から来ており、屈折率のそれぞれ異なる二種類、又はそれ以上のコーティングを施したミラーのことを言います。
この屈折率の違いにより、光を二つ又はそれ以上に分けることが出来ます。

図のように、ダイクロイックミラーへ45度の斜入射で光が入光すると、コーティングにより特定領域の波長の光は反射され、透過する光と二つに分かれます。 ダイクロイックミラーの技術をプリズム表面に施し、可視光をRGBの光の三原色へ分けるプリズムをダイクロイックプリズムと呼びます。 ダイクロイックミラーやプリズムによるRGB分光の最大の長所は、光を分ける時の反射効率が非常に高いということです。(通常90%以上)

ダイクロイックミラーを用いない従来のRGBフィルターによる分光方法と比べて、光の損失が非常に少なく、人の目が捕らえた光の情報に最も近いとされています。

フィルター分光の場合は、RGBの波長によっても異なりますが、40〜50%から最も効率が良い赤色でも〜90%の分光透過率(分光透過率とは、フィルターを通過する際の元の光と、通過光との比率)になります。
この場合、刷り本を見て、人の目には見えていた色が、カメラが写した画像には見えていなかったりするということにつながるという訳です。

さて、インライン品質検査装置にこのダイクロイックミラーの技術を取り入れた場合に、何がメリットとなるでしょうか。

それは、印刷において重要な品質の均質性である「色調」の変化を、キャッチ出来ることが可能になるということです。
どんなに優れた画像処理技術をもってしても、失われてしまった(光の)情報は元に戻せません。
通常、カラーCCDカメラに使われているRGB分光技術は、RGBのフィルターによる分光方式です。
フィルターによるRGBカラーカメラに使用されているカラーCCDは、3ラインCCDと呼ばれ(表現の仕方によっては3CCDとしている場合もあります)、1つのCCDパッケージの上にRGBフィルターを被せた、3つのラインCCDが並んでいます。

この方式のメリットは、安価でコンパクトですが、光の情報量が低下するという点では、ダイクロイックプリズム方式に劣ります。

当社ではダイクロイックプリズムを使用したカラーカメラによって、印刷オペレーターの第三の目になり、色調監視を行う機能をご提供いたします。

2.照明技術

Lighting Technology

人間が目で刷り本を確認する場合、無意識に刷り本をいろいろな角度に傾けるていることをご存知でしょう。
又、色の違いを見るには、色味の調整された色見台の下でなら、より違いを見つけやすくなっています。まして、明るい照明の下でならもっと見やすくなっているはずです。

これらは、人間が無意識に、複数の照明技術を体現しているのです。
ジスクの検査技術はこれらを取り入れて考えられています。

1.光の方向性

太陽光は完全な平行光で、蛍光灯や、電球は拡散型の光となっています。
太陽光のように完全に方向性を持った光の下では、対象物(ここでは刷り本)をさまざまな角度に傾けることで、拡散光である電球や蛍光灯の下でよりも、いろいろなものが良く見えます。

この理由は、方向を持った光の下では影がはっきりと見えますが、蛍光灯などの下では、影がはっきりしない事と関係があります。

画像処理の照明技術では、光の方向性をコントロールする技術はとても重要になります。
方向性をコントロールできるということは、一方方向からのみ光を照射したり、あらゆる方向から光を均等に照射したりと、見分けたい対象(たとえば色の変化、形状変化)によって最も適した構成をすることが出来るからです。

一般使用されている蛍光灯や電球は安価ではありますが、拡散型の光であるため、検出したい欠陥に対しての適合度で考えるとあいまいな部分が多く、前述のように人が瞬時に様々な角度に対象物を傾けて目視でみることに比べ、著しく劣ります。

2.光の強度

明るい光の下と薄暗い光の下では視認力が異なりますが、カメラにおいても同様です。
当然印刷の検査においても照明の明るさは重要な条件ですが、3タレ、ヒッキー、ゴミ付等の欠陥を検出するだけでなく、色の変化を見分けようとする場合に、光の強さは一層求められます。

印刷において濃度の変動は、微細なインキ膜厚の変動によっていますが、これを検知するには相当な光の明るさが必要です。
もちろん人間は、色見台の下で目視でこれを確認するわけですが、クライアントが要求するような色濃度の均質性を云々する色の差は、カメラが捕らえる変化としては欠陥に比べ極端に小さく、そのため通常印刷品質検査装置では、色調の検出を行うメーカーはありません。
ジクスでは、このようなことを可能にするために光の強度を非常に強くし、印刷時にオペレーターが知るべき色調変化をも検出する照明装置を開発し、標準採用しています。

3.光の色

色見台の標準光源がそうであるように、色を確認するには光源の色味が非常に重要です。
なぜなら、人間の目もカメラも、光源が刷り本に反射して戻ってくる反射光を見ている訳で、もともとの光源に含まれていない光に関する変化は、見分けることが出来ないからです。

しかし、人間の目とカメラの目は光の波長に対する感度が異なります。
人間の目は、555nmの緑波長に感度のピークを持ちますが、カメラの場合はCCDの特性や、RGBの分光方式によって全く異なります。
たとえば、3ラインCCDのようなカラーフィルター分光の場合、フィルターの損失により緑の波長は可視光線域の中でピークではなく、かえって弱い感度の範囲になります。

このため、人の目用に設計されている蛍光灯や、ハロゲン球のような光源で色調を重要視する印刷物の検査を行うことは、非常に無理があります。
ジスクが開発している光源装置は、カメラの感度特性に合わせて設計しているため、印刷オペレーターが知りたい色調の変化を捕らえることが出来るわけです。

3.シート安定化技術 スマートエアーガイド

Sheet Stabilize Technology

枚葉印刷機のインラインで品質検査装置の運用を成功させるには、圧胴の上でいかに刷り本を安定させるかということが最も重要です。

なぜなら、品質検査装置が早くから導入されていたオフ輪やグラビア輪転機では、印刷紙は連続してウエブ状につながったまま安定して走行していますが、枚葉ではこのようにいきません。一枚一枚のシート、特に刷り本の尻側は、ブラン胴と圧胴との間から開放されると跳ねたり、波打ったり、動きながら走行しています。

この事が、枚葉オフセット印刷機上での品質検査を難しくしており、結果オペレーターの参考になるような安定した検査が行われず、言わば「大ヤレ」検査の域を出ず、装置の価格に比べ得られる結果が釣り合わないため、広く普及しない結果になっています。

このような理由から、逆に圧胴上でシートを安定化させることが出来れば、イコール枚葉オフセット印刷機の品質検査装置はその真価を発揮することが出来るとも言えます。

しかし様々な品質検査装置メーカーが着手しているにも関わらず、決定的なものが無かったというのも事実です。
厚紙では安定するが薄紙では安定しなかったり、安定と引き換えに大量に吹き付けられる空気が、版面を乾燥させたり、版面温度の上昇につながったりということもあります。

ジクスが開発した「スマートエアーガイド」は、シートの安定化を実現しつつ、従来の紙安定化装置の持つ欠点を解消しています。

主な特徴としては

  1. 1. 完全非接触で、印刷物へ影響を与えない。
  2. 2. 電力量(電気代)が極めて小さい。
  3. 3. 版面温度の上昇がない。
  4. 4. 版面の乾燥がない。
  5. 5. 厚紙・薄紙で調整が不要

等が挙げられます。

これらの特徴を持つスマートエアーガイドにより、品質検査装置の運用に不可欠なシートの安定性が確保されます。

4.画像処理技術

Inspection Algorithm

検査装置が画像処理によるものである以上、画像処理技術が検査装置の心臓部であることは言うまでもありません。
しかし一概に画像処理といっても、それは様々な目的のために数値データーである画像を算術的演算=アルゴリズムによって処理することの総称としてあり、私たちがここで言う「画像処理技術」は、お客様が検査装置を導入した目的を実現するために日々進化し、また新たな要望の下で変化してゆく事の出来る、柔軟性を持った技術のことを指しています。

印刷と一言で言っても、パッケージの印刷なのか、カタログの印刷なのか、出版物の印刷なのかにおいて、又クライアント様の嗜好、時代背景、使用資材を含むさまざまな条件により、検査装置へ求める「画像処理」は異なり、変化をし続ける筈です。

このような視点から私たちは、品質検査装置の画像処理を「生産技術」の一部であると考えていますので、単に異物や汚れを見つけたりするという、製造工程上の近距離的な目的だけではなく、能率を上げ、ロス率を下げ、生産環境を向上させ、利益を伸ばすという生産技術のシステムとして、検査装置がそのお客様にとってどのようにあるべきかを設計し、それを実現するためのプログラミングを含めた画像処理を「画像処理技術」としています。

つまり検査装置における画像処理技術は、運用技術と切り離せないものであり、私たちはメーカーとして導入前のヒアリングや、お客様の現時点での生産技術がどのような状態にあるのかを知ることが重要であると考えています。

5.検査アルゴリズム <その1> パターンマッチング

Pattern Matching

「アルゴリズム」という言葉は、アラビアの数学者(アル・フワリズミー)の名前に因んでつけられたものですが、画像処理による検査プログラミングの世界では、コンピュータプログラムを設計する場合に、定型的な演算手法のことを表現する際に用いられています。

パターンマッチングは検査アルゴリズムの1丁目1番地的存在で、印刷物の品質検査にもかかせない技術であるといえます。

このアルゴリズムは、検査対象が印刷物のように無地ではなく一定の形を持ち、図柄の形=パターンを比較するという手法で、印刷物の検査のみならず、CCDカメラ(又はCMOSカメラ)を使用する異物、異種混入検査の主たる検査アルゴリズムとして広く使われています。

そのため現在では、一概にパターンマッチングと言っても様々な手法があり、ひとつの決まった手法を示すものではなくなりました。

当社の方式は、「4.画像処理技術 Inspection Algorithm」でも書きましたが、生産技術の一環として検査装置があるという考えによっておりますので、単に、基準画像と被検査画像との一致度をとる、という手法はとっていません。
なぜなら、基準画像と被検査画像との違いは全て欠陥である、という考え方で検査装置を設計すると、今まで得意先様へ出荷できていた刷り本も、「基準画像と違っている」という一くくりで不良品になってしまいます。

このような理由から、ジクスの品質検査装置では、印刷会社様において不良とすべき刷り本なのか、良品とすべき刷り本なのかを判断する、情報を折り込んだ「パターンマッチング」アルゴリズムをもって、検査装置へプログラミングしていくことを、最大の特徴としています。

6.検査アルゴリズム <その2> 文字カケ検出

Character Crack

印刷物に要求される品質は、汚れ、異物付着、キズ、コスレ、色の変化等が無いこと等は当然のことですが、印刷物の種類によっては、これら以上に重視される類の欠陥として、「文字カケ」が挙げられます。

文字カケが問題となる印刷物としては、医薬品や食品の成分表示や説明書の重要な数値等、印刷物に記載されている説明が、製造部品の一部とされるような製造物責任法(PL法)上重視されるものに、多く見られると思います。

ジクスでは、「文字カケ」を検出するためのアルゴリズムとして、通常のパターンマッチングとは異なるアプローチが必要であるため、別枠のプログラミングを用意しています。

印刷会社様の要求する文字カケの精度は印刷物によって異なるため、品質検査装置導入の際は、いったいそのような種類の欠陥が(得意先にとって)重視される問題なのかをよく打ち合わせた上で、検査装置のスペック、例えばカメラの種類や台数、レンズの種類や照明の種類を選定してゆきます。

このように印刷物のインライン品質検査とは、一様に同じものではないため、カスタマイズが必要になるのです。

7.検査アルゴリズム <その3> 欠陥判定

Defect Determination

「再生紙に含まれていた用紙の相雑物などは、良品として出荷したい」

「画線部の白抜けピンホールは問題だが、同じような大きさの一枚しかないような、非画線部の欠陥なら問題にならない」

「薄くても、面積の大きい水タレは絶対に出荷できない」

「小さくて目立たない欠陥でも、同じ場所に連続して続くものはクレームになる」

「色は問題にならないが、文字のカケや抜けは大問題だ」

「色の安定性こそが最も問題になる」

等々、得意先へ出荷できるかどうかという基準にはさまざまなものがあります。
その基準にしても、得意先によって、時代背景によって、用紙が先方紙か、当方紙か、印刷物が、出版物の表紙なのか、パッケージなのか、それともカタログなのかと仕事の内容によって違いますし、その条件も変化してゆきます。

これを通り一遍の検査アルゴリズムで検査すると、出荷できるものも出来ないものも十把一絡げにして扱ってしまうので、使っているオペレーターは、「出荷できるのにはじかれてしまう」という状態になり、ついには印刷に集中できなくなってしまい・・・という結果が待ち受けています。

品質検査装置を、品質の向上と、効率のUPへの生産技術ツールとして考える私たちは、この問題に取り組み、欠陥判定のアルゴリズムを設計しています。
そして、条件は変わってゆくのですから、アルゴリズムも日々進化するべきと考えています。

8.検査アルゴリズム <その4> 色相・濃度監視

Hue and Concentration Monitoring

品質の差別化として「色の均質性」こそは、オフセット印刷における高い技術力によって支えられるものであり、印刷会社様の持ち味が現れるコアの技術だと思いますが「Lab-vision」では、単に欠陥を見つけるだけではなく、色相や、濃度の監視を行えるアルゴリズムを用意いたしました。

もちろんこれは、Lab-visionの高い能力を持つ光学系ハードがあって成り立つ技術ですが、オフセット印刷の色管理において印刷会社様が監視すべき、異なった視点からのデーターに対応しています。

色の均質性を維持するには、色が変化している様々な要素を特定することが必要ですが、それらを見つけ出してゆくための計測器として、「色相・濃度監視」アルゴリズムがあります。

したがって、印刷会社様がそれぞれノウハウにされている管理手法や視点に基づいた、カスタマイズを行うことが実用化において重要です。

例えばプロセスなら、インキ濃度とドットゲイン、そしてトラッピングの関係、ソリッド部ではインキ膜厚と色相の関係等を考えた、色相監視アルゴリズムを構築いたします。

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